shapelism  花田設計事務所

秋田市の有限会社花田設計事務所が日常や「ものづくり」の記録をしています。

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土曜日は仙台でJIA東北学生卒業設計コンクールの審査員を務めてきました。

全ての作品が苦悩を経てアップトゥデイトされて現在に至る事が伝わってきます。エントリーしたみんなに賞をあげたかった。



…無論そんな訳にはいかない訳ですが…



各審査員に与えられた点数は2点。東北の精鋭達がエントリーしたのは全部で8点。
コンクールは審査員が審査されるある種の鍛錬、研鑽の場ですから2点には重い責任がある。と言えます。
私の選んだ2点は両方東京で行われる本戦に参加することになりました。

おめでとうございます。素晴らしい作品でした。

2点だけが本戦参加というレギュレーションですから審査員としての能力は評価されても良いのかもしれません。

ギャンブルでもクイズでもありませんのでちょっと違う感じかな?



閑話休題


こういう役を務める場合、自分が気に入らないのは自身がむしろきちんとある正解を導き出してしまえる器用貧乏さです。

学生の作品ですからトゲトゲがいっぱいある訳です。本来であればそこから良いものを拾い出していけなければならない。
平準化が目的ではありませんからね。
こういう審査はたぶん6度目位。きちんと評価出来てしまう自分が逆にとても気に入らない訳です。悩みは深い。

いつの間にかバランサーとしての自分が出してしまう結果。良い物を見る目は育っているんでしょうが、普段設計しているものに求めているモノとはちょっと違うんですね。その答えとの微妙なギャップが贅沢にも自身を苦しめる訳です。

ある不条理が生み出す美しさ。古くはアシンメトリーのマッチ(近藤さんです(^ ^))カットに皆が感じた何か…みたいな…

アシンメトリーが良いとかではなく時代を映す鏡としての美しさ。
それがある種の普遍性を持つ奇跡を知る身として、もはやただ美しいだけなのは浅いな。と(^ ^)

とにかくいろいろな意味で建築のあり方は変わりつつあります。というか変わります。世界初の高齢化社会に突入した私達、早急な文化の衰勢を過ごしてきた私達。
彼ら彼女ら未来を描く建築家のタマゴ達が描き出した未来。パイオニアとしての責任。

発生した事象を憂いたり悲観する事は建築にはそぐわない。時代が創り出してきた負の遺産と如何に付き合えるか?もまた未来に求めらる人間達の素養ですよね。


今回はいよいよというかついにというか原発事故に対してのカウンター建築の提案がありました。5年経つということはこういう事です。審査員全員が明快な答えが出せたのでしょうか?

個人的ですがこの辺に大人が答えを出さない限りは再稼働には賛成しかねる。というのが正しい今の大人のあり方でしょうね。
レイドバックしていく時代の進み方はスリーマイル以降のアメリカと同じ。同じ人間故に同じことを感じているのではないでしょうか。


とにかく大変な審査で審査員は全員くたくたでした。

とにかくエントリーいただいて問題に果敢に取り組んだ出展者の皆さんを称えます。





それではまた…





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